写真、堀田力丸

  江口 玲 プロフィール  

 「非凡なる芸術性、円熟、知性」(ニューヨーク・タイムズ紙)と評される江口 玲はソリスト、室内楽奏者、チェンバロ奏者、そして伴奏者として世界中の聴衆と批評家たちを魅了してきた。
 1992年に大成功を収めた、アリスタリーホールでのニューヨークリサイタルデビューを始めとし、アメリカ、ヨーロッパ、アジアでの主要演奏会場にて演奏を続けてきた。ニューヨークタイムズ紙からは「流暢かつ清廉なるピアニスト」と賞賛され、これまでにカーネギーホール、エヴリーフィッシャーホール、アリスタリーホール、92丁目のYMHA、ワシントンDCのケネディーセンター、そして、ウィーンのムジークフェライン、ロンドンのバービカンセンター、パリのシャンゼリゼ劇場等でも演奏している。その抜きんでた演奏は、ホワイトハウスにて故アイザック スターン氏によりクリントン大統領に紹介され、また東京の浜離宮朝日ホールでの演奏会には天皇皇后両陛下もご臨席された。母校ジュリアード音楽院のアジアツアーのソリストに抜擢された他、アメリカ、アジア、ヨーロッパ諸国等、今まで演奏で訪れた国は25カ国に及ぶ。
参加した音楽祭はアメリカのアスペン、ラヴィニア、ニューポート、日本では長野アスペン、パシフィック、またヨーロッパではロンドンのジャパンフェスティバル、スイスのヴァルビエ、フランスのラ・フォル・ジュルネ等多数。ラジオ、テレビへの出演も数多くNHK-TV、NHK-FM、ニッポン放送、読売テレビ、ニューヨークのWQXR、WNCN、NPR、PBS、NBC、ラジオフランス、BBC放送等、またレコーディングはドイツグラモフォン、フィリップス、DENON、IDVC、マーキークラシックス、ヴィクター、ヴァンガード、BMG、佼成出版、オクタヴィア、NYS CLASSICS等から40枚以上のCDが出ている。

 2002年、春にNYS CLASSICSより発売されたソロアルバム、「Dear America,」はレコード芸術から特選盤に選ばれ、「極上のエンターテイメント」「ガーシュインの霊が乗り移ったかのよう」と評された。また、二枚目のアルバム、「巨匠たちの伝説」(2003年6月発売)はカーネギーホールオープン時にステージ上にあった1887年製のピアノを使用し、カーネギーホールで録音された。このCDもレコード芸術誌から特選盤の評価を受け、二枚連続選出の快挙となった。
 三枚目のアルバム「Pictures at an Exhibition」(ホロヴィッツ版を演奏)は2006年7月に発売され、レコード芸術からは準特選の好評を得ている。
 2009年7月には過去の浜離宮朝日ホールでの4回にわたるリサイタルから抜粋された「ライヴ!ソナタ集」(スクリャビンのソナタ第4番、フランク/コルトー編のソナタ、その他)と「ライヴ!小品集」(スーク、ドヴォルザーク、チャイコフスキー、コープランド等の小品、及びホロヴィッツのカルメン変奏曲)が発売され、その二枚ともがレコード芸術誌から特選盤に選出された。

「江口玲は日本有数のコンサート・ピアニストである。こう言い切っても、彼の演奏を聴き、打たれたことのある人なら、けっして反論はしないであろう。真のコンサート・ピアニストと呼ばれるべき人は、他の誰とも異なった自分の流儀をもって、聴く人びとの心をべつな世界にまで導いていく魔術的な手腕を持たねばならない。当ディスク(ソナタ集)はその条件を十分どころか十二分に満たしている。」

「ここに収録されている曲の多くが名人芸的な華やかなパッセージに彩られていると同時に内面的な深みを感じさせる。それらを江口はあたかも自らの即興のように、絶妙なタイミングでテンポを変え、アゴーギグを施し、ダイナミックかつ流麗、濃密な情感とたっぷりとしたロマンティックな詩情をもって奏でている。<ユモレスク>ですらそうなのだ。さらにライヴであることによって、そこにある種のリアリティが加わっている。要するに楽器と演奏スタイルと解釈、環境が見事に合致しているのだ。こういうアルバムは気持ちがいい。」

「全体にわたり、これほど美しく多様で輝かしい「小品リサイタル」はめずらしい。」

2010年秋に発売された最新のアルバム「Dear Chopin, ポーランド未だ滅びず」もレコード芸術より特選盤の評価を得ている。



 これまでに、ジュリアード音楽院からは権威あるウィリアムペチェック賞と、傑出した功績と指導的地位に対して送られるウィリアム・シューマン賞を受賞、及び同校のジナ・バッカウアー奨学金コンクールとコンチェルトコンペティションにて第一位を獲得、そのほかパリ国際室内楽コンクール入賞、ポーランドのヴィニャフスキー国際ヴァイオリンコンクールでは優れた伴奏者に送られるアレイダ シュヴァイツァー賞を授けられている。作曲家としてはモーツァルトのヴァイオリン協奏曲のカデンツァをヴァイオリンの竹澤恭子女史に依頼され、宮崎音楽祭で演奏されたほか、チェリストの岩崎洸氏のためにもハイドンのチェロ協奏曲のカデンツァを書いている。2003年11月には全音楽譜より自らの編曲によるラプソディー・イン・ブルーを含む「ガーシュイン ピアノ作品集」(江口 玲編曲)が発売されたほか、2007年にはインターナショナル・ミュージック社からフォーレの「夢のあとに」 江口玲編曲ピアノトリオ版が出版された 。

 東京に生まれ、東京芸大附属音楽高校を経て東京芸術大学音楽学部作曲科を卒業、その後同校にて助手を務めた後、ジュリアード音楽院のピアノ科大学院修士課程、及びプロフェッショナルスタディーを修了。ピアノを故ハーバート ステッシン、外山準、金沢明子、伴奏法を故サミュエル サンダース、作曲を佐藤眞、故北村昭、物部一郎の各氏に師事。2011年5月までニューヨーク市立大学ブルックリン校にて教鞭を執る。2006年より洗足学園音楽大学大学院の客員教授を務める他、2011年4月より東京芸藝術大学ピアノ科の准教授に就任。現在もニューヨークと日本を行き来して演奏活動を行っている。

 オフィシャル・ウェブサイト www.akiraeguchi.com




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