デューク・ユニバーシティの図書館には1850年代から1920年代までにアメリカで出版された、約1000曲ほどの楽譜のコレクションがある。それらに目を通して行くと非常に興味深い。
南北戦争を挟んで1850年台から80年代までの器楽曲の主流はワルツ、ポルカ、マーチであった。裕福層ではポルカ、ワルツによる舞踏会が催され、マーチは軍隊のみならず、街の祭りのパレードにも必要なものだったのだ。スーザの「星条旗よ、永遠なれ」もこの当時の作品である。
流行のダンス音楽を見て行くと、奴隷解放以降、次第に彼らの音楽が一般に広まって行く様子がわかる。
1860年に出版された「フレッド・ウィルソンのクロッグダンス (Fred Wilson's Clog Dances)」の表紙には、黒人の男が描かれているが、和声は非常に単純であり、付点のついた分散和音リズムのメロディーも、ヨーロッパのクロッグダンス(木靴のダンス)とそれほど大きな差異はなく、奴隷特有のものとは考えにくい。
ケークウォークはもともと奴隷達の娯楽として、一番上手に躍ったものにケーキが振る舞われたことから、そのような名前がつけられた。
のリズムが特徴である。
アフリカのガーナ地域の音楽の特徴を持つとも言われているが、その関係を否定する研究家もおり、ケークウォークのリズムの紀元についてははっきりしない。
1877年に出版されたデイヴィッド・ブラハム(David Braham, 1838-1905)の「あのケーキのために躍るんだ(Walking For Dat Cake)」はケークウォークを題材にした音楽であるが、ポルカ、行進曲の特徴はあるものの、ケークウォーク独特のリズムの特徴は全く見られない。
|
|