4
スモーキー・モークス
エイブ・ホルツマン作曲
Smoky Mokes
By Abe Holzmann
作曲者のエイブ・ホルツマン(Abe Holzmann, 1874-1939)はニューヨーク生まれのドイツ系移民の二世であり、音楽の教育はドイツにて受けた。
このスモーキー・モークスは1899年に出版された。
この楽譜には、「行進曲のテンポで」とは書かれておらず、「ケークウォークで二拍子(Cake Walk and Two Step)」と記されている。
韻を踏んだふざけたタイトル、そして軽快で、非常に楽しい曲である。
しかしそのタイトルの意味するところが何なのか、考えてみたい。
「Smoky〜煙が出るような(エキサイティングな)、Mokes〜黒んぼ」がおそらく作曲者の意味したところの題であろう。
ところが、Smokyとは煙ですすけた、という意味から、ぼんやりした、また、煙ですすけて黒くなった、という意味合いで、黒人を示す蔑称でもある。
Mokeという単語はロバ、或は駄馬を意味すると同時に、役に立たない家畜という意味で、やはり黒人を示す蔑称としても使われたのである。
さらに表紙の左部分には次のように書かれている。
"Published also as a song with humorous darky text"「滑稽なダーキーの歌詞がついた歌も出版」。
ダーキーとは、現在では使われることの許されない「色の黒い奴」という黒人への蔑称である。
ちなみに1800年代から1900年代初期に出版され、このように黒人の蔑称を使用したタイトルが付けられた曲は、数多く存在することも知っておいてほしい。
|
|