さて、ここで一つ是非とも書いておかねばならないことがある。ベスューン将軍もエイブ・ホルツマンも、その他の白人作曲家たちも決して極悪人であった訳ではない。
自分たちがオークションに出されることを知った赤ん坊トムの母親は、ばらばらに買われて行けば命を絶たれる運命にある息子を救うために、街で見かけた名士ベスューン将軍に、自分たち一家を買い取ってもらうよう懇願したのだ。
その時代が当たり前の事実として奴隷を所有し、黒人を差別し、それが普通のことであったのだ。
ホルツマンに至っても、そのタイトルの付け方についてとやかく言われるのは全くの濡れ衣かもしれない。
むしろ私の見方が穿ったものなのだろう。
しかしアメリカで生活していて、時折感じることがある。
ニューヨークは人種のるつぼと言われるが、その通り多種多様の人種、国籍、宗教を持つ人々であふれている。
アメリカでは公には人種差別、宗教差別は存在しない。
しかしながら、、、、、、
ディズニーのアニメ、「ライオンキング」は子供たちに大人気である。
お子さんのいるご家庭ではご覧になったかたも多いのではないか?
でも、皆さんは気付いただろうか?
その中で良いライオンは色が白く、悪いライオンは黒く描かれている。
こそこそと悪さをして群がるハイエナたちはスペイン語訛りの英語を話す。
これをアフリカ系、ヒスパニック系の人たちはどう感じるか、作者は考えたことがあるのだろうか?
無垢な子供たちに暗黙のうちに植え付けられる、
かすかな、
何か。
差別されたことのない人は全く気付かないもの、
差別される者にしか感じられない小さな棘、
それは今でも確かに存在している。
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